互恵的利他主義
ある局面でのその個体の不利益は、別の時には他個体が引き受けることで結果的には不利益を生じないのだという見方である。例えば群れの中での役割は、複数個体が交互にそれを行うことで、それぞれの個体は危険と利益を交互に受け取り、総合すればそれぞれの個体がある程度の利益を受けているのだと考えられる。互恵的利他行動は裏切り者(お返しをしない個体)を記憶し、裏切り者を罰したり利他行動の対象から排除するような行動と共に見られる。サルなどで見られるグルーミングが代表的である。これはその都度の行動だけを見れば利他的行動だが、長期的には利己的行動と見なせる。
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社会性昆虫における利他的行動を説明する有力な仮説として現れたのが血縁選択説である。血縁選択説は自然選択の単位を遺伝子であると見なす。自分のもつ遺伝子を共有するのは子だけでない。血縁者であれば一定の確率でそれを共有している。利他行動がたとえその行為者の適応度を低下させたとしても、受益者にも同じ遺伝子が含まれているなら、遺伝子の視点から見れば利己行動と同じ事である。つまり子以外の血縁者を通して遺伝子を残すことで利他行動の進化が可能であると考えた。血縁選択説は親による子の保護、子の親の手伝いも理論的、数学的に説明可能にした。この説は社会性昆虫以外にも適用され、「進化における遺伝子中心視点主義」を生むことになった。
ある遺伝子が、自分がその個体に存在していることを示す目印と、他個体の目印を識別する形質と、その個体への利他行為とを同時にコードしている場合、その遺伝子は淘汰に勝ち残る可能性がある。